キングタイガーとテストの隠蔽
















最初に戦車を購入したのは小学校3、4年生のときの誕生日だと思う。もちろん父が購入してくれた。近所の模型屋で買ってもらったのだが、なぜか興奮した記憶がない。従姉妹がちょうど遊びにきており、一緒についてきた記憶がある。おそらくすこし見栄を張って父にガンプラよりも男らしい(?)戦車をせがんだのかもしれない。
キングタイガー(ヘンシェル型)
そんな経緯もあってか、資料も読まず適当に作り上げたのがこの戦車。装甲も実物と異なりペラペラだったのはちょっと痛かった。でBB弾で撃つと見事に装甲が割れた。しかも88mm砲も根元から折れてしまった。(汗)感心したのは機銃ボールマウントのみ。しかしこの戦車の大きなボディーは別の意味で大変重宝した。小学校5年のとき、勉強にまったく興味を失いこのときは平行して魚釣りにも夢中になっていたこともあり、学校の成績はボロボロだった。30点、40点は当り前。しかしテストに無関心だった我が両親はテストを見せろとはいわない。しかしいつ見せろと言われるかわからないため、このキングタイガーの腹にテストをまとめてしまいこんだのである。(笑)まさか、両親も戦車の中にテストの結果が隠蔽されているとは思わなかっただろう。スパイに水のタンクですと説明したのが「タンク」と呼ばれる起源らしいけど、まさしくキングタイガーが我が家のタンクだったのだ。


小6の模型大会で有頂天に

小学校6年生のとき、夏休みでもないのに模型や工作を教室内で展示する企画があった。プラモデルでも木工細工でもなんでもOKという自由な設定に「プラモデルもよいのか」と誰かが聞いた。なんとOKの回答。

さっそく模型屋に足を運んだ。まずは飛行機にしようと考えて零戦52型を購入して色を塗り、組み立てみた。滑走路をつくらねばと発泡スチロールの台に色を塗り、茶色のパウダーを撒き、さらに父から零戦1機を借りて学校に持っていったのである。だが、どうもウケが悪い。飛行機は飛んでいる姿が格好いい。駐機している姿で萌えるのはオタクくらいのものだ。慌ててこれは作品を変更しなければならん!と考えていたところ、ちょうどテレビで見た映画203高地の戦闘シーンを思い出した。これだあ!とひらめいてな購入したのはアメリカ歩兵セット。価格的にもっとも手の届く範囲で、かつポーズが「戦闘中」だったからでしょう。
オレンジ色の顔でデビュー
したアメリカ兵4人組
肌色のラッカーを持っていなかったので似ているガンダムカラーのオレンジを無理やり塗り、当然銃もガンメタルなどなかったので、木製の部分など無視してガンダム色のミディアムブルー(爆)で一気に塗装。そんなアメリカ兵を発泡スチロールの台に乗せ、さらに庭や公園で拾った枝を台にさし、針金で鉄条網を作り、そこに米兵4人を配置して所謂「ジオラマもどき」を作ったのである。こんな即席ジオラマがウケにウケたのである。(笑)普段褒めてはくれない教師にも褒められ???オタク少年は有頂天になってしまったのである。
MM模型第一期(黎明)
褒められた!ということをきっかけにオタク少年は陸軍の軍拡も進めるようになった。ただ、予算も乏しく海軍と平行でこの当時は軍拡を進めていたので文字通り予算の取り合い。しかし当時は海軍のほうが勢力が強く(笑)陸軍は押され気味。つぎに購入できたのはやはり価格の安いドイツ軍の歩兵セットであった。これがまた箱の絵と違ってショックな出来栄え。なんせほとんど一体成型で唯一マシなのが伏せ撃ち姿勢と双眼鏡を覗いているポーズの選べる兵隊のみ。しかもこいつの顔が格好いいというだけの理由。彼も裏返してみるとどーしてそんなに体ペッチャンコなの?というくらいの不自然さ。のちに登場する機関銃チームセットの伏せ撃ち君と比べてみるとほんまにショックを受ける一品。
衝撃!のドイツ兵たち
これに懲りて、キットの箱絵、価格だけではなく中身をきっちり見て購入をするようになった。庭というフィールドがあることからまずは歩兵を中心に購入していった。なんといっても我が陸軍は歩兵が主体なのだ。(^^)

203高地の影響が強すぎたせいかまずは戦闘シーン中心のセットを購入。
米軍GIセット 突撃セット 進撃セット
土嚢セット ジェリカンセット 第8軍セット

相変わらず、塗料にまで資金が回らなかったため、すべてガンダム塗料で適当に塗る。武器は相変わらずミディアムブルー(爆)最終的に全部塗り替えたけど。この当時はこの程度の力のいれようだったのだ。特に気に入っていたのはドイツ進撃セット。突撃セットは腰だめでMP40を撃つ兵士が好き。GIセットは立ち姿勢が多いし、これから走り出します的な中途半端な姿勢な兵士もいて、ちょい不評。だって机の上で並べられないんだもん。

次に購入したのが機関銃チームセット。土嚢を積んだらやっぱり機関銃でしょ?双眼鏡を手にした小隊長の顔がこれまた渋い!MG42の弾帯ベルトを見て興奮したがこれまた触っていたら折れてしまい涙。2人組で立ち姿勢でMG34を撃つふたりの前の兵士はその後、工兵にされてツルハシを持たせて作業させるポーズに変わっていた。本人は不本意だったろうけど。
機関銃チームセット
次に将校たちが必要なだなあと考えて購入したがドイツ将校セット。これまた箱絵が格好よかったんだけど、実際は直立不動系で、ちょいがっくり。金髪の彼はその後、ロボコップに変身させたが、映画に飽きるとそのまま放置され現在は行方不明。(ごめんよ)
ドイツ将校セッ
兵士は結構数が揃ってきたので、次は軍用車両をそろえるかと購入したのがキューベルワーゲンとシュビムワーゲン。低価格だったというのが購入の理由でもある。運転兵たちの帽子はなぜかツバ部分だけを接着する不思議なつくり。セメダインを少し塗って接着したけど遊んでいるうちにすぐに取れてしまうので結局ツバなし帽子のままに。しかも彼らの運転姿勢はかわいそうなくらい窮屈。付属の将校は意外と格好よくてちょっとエリートっぽい雰囲気が好きだった。
キューベルワーゲン シュビムワーゲン
どうも軍用車両はいまいちだなとかんじ、再び歩兵兵力の増強に走る。次に購入したのはアメリカの機関銃チームセット。バズーカも迫撃砲もあり、戦力が急に増したかんじ。土嚢を積んだ陣地に配置するとこれまたイイっ!(^^)立ち姿勢でブローニングを射撃中の兵士の「うりゃああ」という顔が好きだった。こんな武器もってる奴らに銃剣突撃じゃ勝てんですよ。とほほ。
米軍機関銃チームセット
米軍の参入により歩兵の火力も増してきたのでそろそろ装甲車両を!と思い価格の安さから(やはり小遣いが少ないので選択肢が少ないのだ)2号戦車を購入した。この2号戦車がまたチンケというか、悲しいというか、戦車と呼ぶにはあまりにも悲しい戦車。最終的には砲塔を外されて自走砲に改造される運命に。
2号戦車
戦車があまりにもヘボ過ぎたので次は大砲だ!とばかりに購入したのが75mm砲。またあまり関心がなかったので塗装もせずに適当に組み上げた。このキットの人形は顔立ちがよく、特に照準手の片目をつぶった表情が好きだった。ただしこのおっさんはあくまで照準用に作られた人形なので転用が出来ず、75mm砲を分解したら用無しになってしまった。オッサンごめん。なお、75mm砲はなんと日本陸軍の97式中戦車チハに装着されることになるのだ。

75mm対戦車砲
相変わらず資金に乏しい我が軍が次に購入したのが日本陸軍のチハ戦車。ダサかっこいいと一部では言われているようだが、ほんまにその通りである。機銃手の体が半分しかないのがなんともさみしい。しかも戦車長も相変わらず直立系で、しかもそのまま戦車に乗せると必ずナナメ上を向いてしまうのが難点だった。装甲も実車どおりペラペラで、BB弾で射撃してみたらこれまた見事に前面装甲に亀裂が入り、しかも機銃が見事に折れてふっとんだ。哀れ、97式中戦車。いまは廃刊となった戦車マガジンの別冊で97式中戦車という本があり、これを参考にしながら塗装をしたことをおぼえている。47mm砲を搭載した97式中戦車改を早くほしいと思ったが、このキットが発売されるのはまだまだ先のことだった。
97式中戦車
雑誌を読んであまりの軟弱ぶりに衝撃を受けたのでプラ板を着け、パテを塗りたくってまるで鋳造のような砲塔に仕上げ、最後は75mm砲を切り取って装備させたのである。砲塔の延長が出来なかったので駐退分のスペースがないありえない形であったが、妄想少年には十分すぎる改造だったのである。
フンクワーゲン BMW R75 サイドカー テントセット
次に購入したのはフンクワーゲン、オートバイ(サイドカー付き)、テントセットである。特に明確な目的があったわけではなくて買って組み立ててみたという程度。フンクワーゲンはその後、迷彩色に塗ってみたし、テントも同様に迷彩色に塗り替えられた。無線機と無線手の顔が格好よかったのが印象的。サイドカーは上手くできたので、親父に見せようと畳の上に置いておいたら、オヤジに踏みつけられてあえなくサイドカーとの接合部分が折れて再起不能に。(涙)行軍しているふたりの兵士がこれまた格好よかった。

このように歩兵を中心に予算と相談しながら買って適当に組み立てていたというのがこの時期なのである。
 
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