MM模型の強敵!!機動戦士ガンダム現る!



1979年(昭和54年)、黒船はテレビを通じてやってきた。のちにリアルロボットシリーズの先駆けとなる「機動戦士ガンダム」の放映である。冒頭のシーンから人類がスペースコロニーで住む未来の時代を書き、地球から最も遠いスペースコロニーが独立を宣言し地球連邦に独立戦争を挑むというシナリオ。いかにもありそうなリアリティーあふれる背景はこれまでのロボットヒーローものに見られる極悪地球外生命体からの侵略を未成年の少年達が毎回やっつけて終わるという水戸黄門的なストーリーと一線を画していた。
当時小学校2年生だった僕はこのガンダムに釘付けになってしまい、翌年1980年に発売されたガンダムのプラモデル(通称:ガンプラ)に浮気をしてしまうことになるのである。はやい話がザクの120ミリザクマシンガンとガンダムのビームライフルに心を撃ち抜かれたのだ。

ホビーjジャパンなどにはガンダム模型がウエザリングされた状態で掲載されていたり、前項で延べたジャブローで作戦行動中のザクの小隊のようなまるでMM模型の世界を空想の世界に持ち込んだジオラマが結構掲載されていたのである。最初はズゴックがガンダムにビールサーベルで頭をまっぷたつにされるシーンのジオラマや、量産型ジムがシャアのズゴックに腹をぶち抜かれるシーン(今思い出してもかわいそすぎる)が多かったが、次第にMMちっくな要素を盛り込んだジオラマが多くなった。おそらくMM模型グループがかなりガンダム模型に流れたのであろう。この時代はMM模型にとっては冬の時代と呼ぶにふさわしい時代だっだ。


ガンプラの思い出

最初に購入したは実は144分の1サイズの量産型ジムである。144分の1のガンダムは同級生の作ったモデルを見て「なんだかいまいち〜」と思ったからだ。
 
それにしても量産型とはいえ、なんだか米軍のシャーマン戦車をイメージさせるような数だけ作りました的なスタイルはいまいちである。しかもまるで体操服の短パンのような腰部分はいただけない。いちおう、ボールも買ってみたが、これまたあまりのショボさにすぐに砲の部分を外して改造し、我がMM部隊の高射砲として生まれ変わった。ああ、砲を取られたボールの無残なことよ。
 

連邦軍のそれに比べるとおなじ量産型とはいえザクの設計にはやや悪役敵な要素が入ってはいるものの、肩の過剰な装甲やヒートホークなどの無骨な武器、そしてビーム兵器の開発が遅れたとはいうもののこれまた無骨なルイス式機関銃を彷彿させるような120mmドラム弾装のザクマシンガンにはMM世代としては萌えの心をかんじてしまうのである。いやあ、いいじゃないのお、ザク。それにしても120mm砲をはじくガンダムの装甲ってどんなんやねん!

旧ザクも大変味があるザクで僕は好きだった。量産型ザクと比べてこっちのモデルのほうがスタイリッシュ。模型も良く出来ていて、可動部分も144分の1のザクより大きかった記憶がかすかに残っている。おなじザクでも60分の1シリーズというシリーズ最大の大きなモデルがあった。シャア専用、量産型、ガンダムの3種類があったと記憶している。ムギ球という電球をザクのカメラアイに装着し、背中に電池を入れると目が光るのである。部屋を暗くして「グォン」と声を出しながら楽しんだ。ところがこの60分の1のザクは決定的な設計と強度計算ミスがあった。もっとも可動頻度が高い上の付け根があろうことが薄い板で構成されているため、簡単に折れてしまうのである。

60分の1のガンダムはコアファイターが内蔵されており、翼はきちんと格納されて機体も収納されるようになっており、なかなかよく出来ていた。ビームサーベルは鉛筆けずりで先を削って楽しんだが、やはりまだまだ当時のモデルは可動領域が狭くてテレビの冒頭シーンのようにビームライフルを構えるシーンは出来ないのはおろか、どこかぎこちなさを感じるモデルだった。こういうところになんとなく限界を感じて僕はMM模型に戻っていったような気がする。ちなみにバズーカはその後車輪をつけて我がMM部隊の大砲に生まれかわったことを追記しておこう。
戦争に負けた旧日本軍が多種多様な兵器を作り出して戦場に送り出したのと同様にジオン軍もまた数々のモビルスーツ・モビルアーマを送り出していた。ザクの次に好きだったのはやはりグフ。宇宙空間では戦えない限定兵器ではあったが、なんといってもジオンのキャラクターでは一番好きなランバ・ラル大尉の操縦するグフは格段に格好良かった。悲劇的な最後もまた男くささあふれていまのアニメにこんなキャラクターは存在するのだろうかとおもうような逸材。

ドムは好きになれなかった。マチルダ中尉のミディアを撃墜した恨みからかも?ゲルググも豚の鼻がいまいち。最後に購入したのはジオングだったと記憶している。10センチほどの針金が3本キットに入っており、頭と手が伸びるという設計になっていた。どうせなら黒い紐でもよかったのに。最後のキットということもあり、かなり念入りに塗装した記憶がある。



僕はファーストガンダムは好きだと公言しているが、中学生のときに放映されたゼータガンダムが性に合わなかったことも合って実はファーストガンダム以外は全く知らない。最近甥っ子がSEEDなるガンダムシリーズを見ていたが、正直なところ、なんだこりゃ?とがっくりしてしまった。ファーストガンダムが持っていた男臭さがどこにもないのである。偏見かもしれないが、そんなわけでさらにファーストガンダムへの思いは強まったというのが正直なところだ。ちょうどこの文章を書いているときにファーストガンダムのDVDが発売されるという情報が入った。

我々ガンダムに熱狂した世代が「大人買い」出来る時期に来ている事を狙って発売したんだろうな。
  
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